NY原油は、当局による投機規制強化の動き、世界的な景気後退による需要減少思惑や、ドル高ユーロ安などから、ファンドの手仕舞い売りが優勢となり、7月の史上最高値高値を起点に大幅修正入りとなった。グルジア問題に加え、米国(NATO)とロシア間の緊張が高まったことや、熱帯低気圧の発生、OPEC総会での減産思惑、米エネルギー省予想(08年後半は、特に強い新材料が出なくても120〜130ドルで推移)などを材料視して、110ドルの心理的節目を維持して急反発したものの、ユーロ安・ドル高や、アゼルバイジャンとトルコのパイプライン再開、ロシア軍のグルジア撤退などを嫌気して翌日に急反落するなど、日替わりで上下に荒い展開となっている。
投機的な動きが強まっている値動きであるが、2007年1月安値(49.90ドル)から2008年7月高値(147.27ドル)までの上昇に対する38.2%押し(110.07ドル)水準で下支えられた格好となっており、テクニカル面からは長期上昇トレンドの中での押し目の範疇と見なすことができる。
また、下げの一因であったドル高も、米国はスタグフレーションの様相を強めており、米金融機関の損失計上が続いていること、さらに、4度に渡って金融引き締めを主張していたタカ派のダラス地区連銀のフィッシャー総裁が「米国は長期に及ぶ低成長期に入っており、08年下半期にゼロ成長となると予想している」と、米景気に弱気な見方を示したことで、利上げ観測も後退しており、必ずしも米景況感の好転からのドル買いではない。
原油安・ユーロ安に追随する格好で、850ドルを割り込んでから投げが加速して急落したNY金も、下げ過程で今までの「実需売り・ファンド買い」から「実需買い・ファンド売り」の構造に変化しており、中長期的な買い場が近いと、とらえる向きも出てきた。さすがに800ドル台を割り込むと現物需要が増加しており、ここまで静かだったインドでも現物在庫が品切れ状態で、9月まで精錬所の精製能力はフル稼働予定だ。季節傾向を振り返ってみると、NY原油が10月天井〜年末へ向けての下落が確認されるのに対して、NY金は、年末に向けてジリ傾向を辿っており、金の割安を示している「金・原油比価」も年末に向けて修正されていくものと思われる。

